答はどこに?/CDA2次に向けて(2)
「答はその人の中にある」(Starting from within/R.Assagioli)。これは、その人にとっての最善策は、その人が持っているということですね。(CDAが支援するクライエントの「答」とは、簡単に言えば、自己探索、自己成長につながる「自己概念」と考えていいと思います。)
ですが、クライエントにはその「答」がなかなか見つからない。
何故見つからないのでしょう?
「答」はどこに隠れているのでしょう?
それは、”意識されていないところ”。つまり、『無意識』の領域にあるからなんですね。ですから、困難と思える事態に接して、どうしたらいいのかと「頭=顕在意識で考えている」クライエントには、なかなか「答」が見つかりません。
では、気づかない(無意識の)領域にある「答」をどうやって探せばいいのでしょう?
無意識の領域からは「ヒント」や「サイン」が出てきますので、それを手掛かりにするんですね。そして、それが「答」の存在を証明しているのですが、なかなか気づきにくいのが難点です。
と言うのも、無意識からのサインやヒントは明確な言葉や論理として現れないからです。つまり、身体感覚やイメージ、あるいは漠然とした表現、比喩などを通して曖昧な形で現れることが殆どです。
ですから、CDAとしては冷静に、客観的に、それらのサインやヒントを聴き逃さずに受け止め、クライエントに「ほら、こんなサインが出ていますよ」と教えてあげるだけでいいんですね。具体的には「問い」という形をとることになります。
「クライエントから出た言葉」だからクライエントは分かっている筈だと考えたり、あるいは「(了解!)そうですよね」とスルーするのは危険ですね。それはカウンセラー側の顕在意識空間での判断です。そうではなくて、「答」は潜在意識の中にある。今語られた言葉や仕草などは、「答」についてのサインだと理解することがポイントです。
従って、曖昧な話に対して、整理しよう、具体化しようとカウンセラー自ら説明・解説したり、閉ざされた質問を始めてしまうのはいけませんよね。具体化したり、説明したり等「言語化」するのは、「クライエントの作業」です。クライエントが自ら作業するから「気づき」が得られるんですね。勿論、複雑な状況をある程度整理してあげたり、分からない点を最低限理解するために確認することは必要ですが、あくまでも掘り下げる作業はクライエントがやるものだということです。
話が堂々巡りし、はっきりしない、もう少し簡潔に。そう思うのは人間として普通のことです。ですが、そうした曖昧な語り方こそが、無意識領域/自己探索に入りつつある証拠なんですね。
こうした意味で、「クライエントの話の曖昧さ」をそのまま受け取ることができる力(「曖昧さへの耐性」)がカウンセラーには必要なのだと思います。
カウンセリングの対象は無意識領域を含めたクライエントの「内的世界」です。そこにはクライエント特有の世界が広がっています。語られた言葉だけではなく、その背景や深層も考慮に入れた”空間としての理解”が必要だと思います。その為には、カウンセラーとしても意識領域と無意識領域のそれぞれに片足ずつ踏み込み、クライエントのお話に沿って、柔軟に対応していく必要があるのではないかと思います。
ご参考:「
CDA実践研究会」(レジュメ、勉強会、ロープレ研修、逐語添削等)
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