2012年11月21日

二つの舟(共感)/CDA2次に向けて(5)

CDAの2次試験では「共感」が求められます。では、具体的にどうすればいいのでしょう? ちょっと悩ましいですね。コミュニケーションの基本は双方向、つまりキャッチボールです。会話のキャッチボール。

お話を聴いて、「うんうん」「はいはい」だけではキャッチボールにはなりません。なんらかの形でボールを返す必要があるんですね。ボール、つまり言葉です。

手っ取り早いのが単語、それもクライエントが使った言葉であれば、
・言い違いや誤解は少ない
・言葉を重ねても問題ない
という訳ですからこれが基礎と考えてもいいでしょう。テレビを見ていても上手い司会者はこの手法を使っています。注意して見られると参考になりますよ。

では、これだけでいいかと言うと、これだけでは共感とは言えません。では? それは気持ちがこもっていなければいけないということです。 気持ちを込めるとは? そう、非言語表現ですね。 非言語表現を使って気持ちを込めて言葉を返す。この点がしっかりできれば、共感についてはいいレベルに達していると思います。但し・・・。

時々、気持ちを込める=「共感」=「同感」と思っている方をお見かけします。ここで、「共感」≠「同感」ということをしっかり押さえておきましょう。

「同感」とは、クライエントと同じ側に立って、その気持ちに同調することです。言わば、同じ舟に乗りこんで荒波にもまれている状態です。「それは大変ですよねぇ」「それはご不安ですよねぇ」「それは困りましたねぇ」、いづれも同感です。同じ気持ちになっているという訳です。

カウンセリング上、これではいけません。
え? これではいけないの? 同じ気持ちになってはいけないの?

はい、これではいけません。
理由はいくつかあります。
1)事柄→解釈→感情という反応で「不安」を感じていたとして、その不安に同感/同調したとします。その後、ある気づきによって事柄の解釈が代わり、「期待」という感情が湧いてきたとしても、「不安」という同じ気持ちになっているカウンセラーに気兼ねして正直に「期待」と言えなくなってしまう危険性があります。

2)また、同感することによって一時的にせよ気持ちを軽くしてしまいます。それは痛み止めみたいなもので、一生痛み止めを飲み続けることが出来ないように、四六時中クライエントのそばにいる訳には行きませんし、一生面倒をみることだってできません。クライエントが自分で選び、行動できるように支援するのが本当のカウンセラーの役目ですからね。

3)逆に、「同じ体験もしていないのに、私の気持ちを分かるはずが無い!」と抵抗を生むことだってあります。

4)そして、同じ気持ちになった(=同感)時から、クライエントとカウンセラーのそれぞれの気持ちをひとまとめにし、最大公約数的な把握になってしまいます。これでは自己探索とは逆の方向ですね。自己探索とは、クライエントの気持ちを分解し、確認していく作業ですから。

この様に、「同感」とは同じ舟に乗って(いるかの様に)、同じ荒波にもまれて、同じ感じを味わっているイメージです。もし舟が沈んだら・・・。

これに対して、「共感」とは『二つの舟』に分かれて乗っている。同じ荒波にもまれて(いるかの様に)、クライエントの舟の傍に居る。そして、クライエントの舟の様子を見ている。暗礁が見えたら教えて上げることもできる。沈みそうになったら助けてあげることだってできる。「あの様な舟で、あのような操作をしていて、この波だったら、その様な気持ちになることも」と理解する。これが「共感」ですね。

クライエントの舟に案内されて、クライエントの「無意識と言う海」に自分の舟で漕ぎ出す。これがカウンセリングなのかもしれない、そんな気がしてきます。

参考例
「同感」:「ご不安ですよね。」
「共感」:「ご不安と<感じてられるん>ですね。」
   又は「ご不安なんですね。」

ご参考:「CDA実践研究会」(レジュメ、勉強会、ロープレ研修、逐語添削等)



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    Posted by タテさん  at 23:25 │Comments(0)CDA2次対策

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